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小規模保育園は閉園のリスクが高い?過去の事例をもとに徹底検証

最近は保育園が増加傾向にあるといいます。従来の保育園はもちろん、企業主導型保育園や小規模保育園など新しい保育園の形も注目されるようになりました。

一方で、新設される保育園ばかりではなく「突然閉園」「入園できたのに保育園が閉園した」というニュースも少なくありません。今回は小規模保育園を運営する当ブログの視点から、「小規模保育園は閉園リスクが高いのか」を解説します。

過去の事例と閉園に対する対処法もお伝えするので、あわせて参考にしてください。

この記事は以下の方におすすめです▼

  • 小規模保育園とは何かを知りたい方
  • 小規模保育園は閉園する可能性が高いのか、内部事情を知りたい方
  • 閉園したらどうなるのかを知りたい方

この記事では以下の情報が得られます▼

  • 小規模保育園の閉園リスク
  • 保育園がどのようにして閉園するのかの原因
  • 閉園しない保育園を見極める方法

小規模保育園の現状

小規模保育園とは、

  • 原則0~2歳の子どもが対象
  • 定員6~19名の少人数制
  • 6人以上20人未満の子どもを預かる

という特徴を持つ規模の小さい保育園です。待機児童解消を目的として作られた保育園であり、2015年には認可事業の対象になったことで注目されています。

小規模保育園は現状どれくらい設立されていて、保育所の定員と充足率はどの程度か確認していきましょう。子ども家庭庁から発表されている保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)を参考に、お伝えします。

保育園の数

保育園の数推移

引用:こども家庭庁:保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)

小規模保育園は保育所のうち、家庭的保育事業や居宅訪問型保育事業とあわせて「特定地域型保育事業」に分類されています。以上のグラフによると、令和5年の特定地域型保育事業所数は、約7,500施設です。

認定保育園よりも開園のハードルが低いこと、待機児童の多い0~2歳を預かる施設であることから、特定地域型保育事業は平成27年以降、増加傾向にあります。

保育所の定員と充足率

保育所の定員と充足率推移

引用:こども家庭庁:保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)

保育所の利用率は全体を見ても、1・2歳児を見ても、グラフの通り毎年増加しています。一方、待機児童数は減少傾向であることがわかります。同資料の別のデータを見ると、小規模保育園を含む地域型保育事業の令和5年定員充足率(利用児童数÷利用定員数)は79.7%でした。このことから、保育園の種類にかかわらず人気の園とそうでない園の差が大きく、大幅に定員割れしている施設もあるといえそうです。

保育園が閉園した事例

保育園が閉園した事例

待機児童ばかり注目されがちですが、現状は少子化が進んでいます。保育所の統廃合や閉園は以前からありましたが、ここ数年は突然の閉園がニュースで取り上げられることが多くなりました。また、保育園の種類や運営母体の大小などにかかわらず、さまざまなところで閉園となるケースが出ています。

保育園が閉園した事例をいくつか見てみましょう。

閉園2週間前に通知|千葉県の認可保育園

千葉県の認可保育園において、保護者に施設の責任者の名前で手紙が送られ閉園が通知されました。通知は閉園の2週間前と急なお知らせでしたが、園から説明会や謝罪などもなく、さらに市と相談した結果の決定でした。

このケースでの閉園の理由は「経営環境の悪化」「人材不足」としていますが、実際には職員が運営元の方針に不満を持ち、労働組合であるユニオンに相談したのがきっかけといわれています。

閉園後は市から公立保育園への転園を提案され、ならし保育なしで対応。とはいえ、突然の環境変化や準備も必要となり、保護者には相当な負担がかかりました。

保育事業の大手が運営する5つの園が閉鎖|東京都の認証保育園など

東京都での保育園閉園のケースでは、運営元が保育事業の大手であり、およそ200もの園を運営する企業でした。この場合では、9月に「翌年の年度末で閉園する」という告知が郵送で行われています。

対象となる園児は合計200名以上おり、転園先となる認可保育園への紹介はわずか4日間で締め切られました。

閉園の理由は「入園需要の減少」「建物の老朽化」「コロナ対策のためのスペース確保の問題」とされていましたが、実際には運営状況も良好で、保育事業全体の収益性を重視するためだったという見方もあります。

このケースでは、閉園の決定が告知の1ヶ月以上前だったため、入園してすぐ閉園の告知を受けた園児もいたそうです。

倒産により即日閉園するも、職員が自主営業|東京都の認可外保育園

東京都の認可外保育園は、運営元が複数の園を運営する企業。金曜日の夕方に企業の役員が突然閉園を職員全員に告知し、保護者への連絡はありませんでした。

閉園の理由は企業の倒産ですが、以前より系列園が閉園となったり保育士への賃金未払いを起こしたり、設備の修繕が不十分だったりと、経営難に陥っていたといいます。

このままだと月曜の朝園児の受け入れが突然できない事態を招くところでしたが、金曜の夜に話し合い、保護者や園児のために保育士たちで自主営業することを決定。その後は保育士と保護者が協力し、労働組合の力も借りて自主営業を成功させました。

園の利用は閉園後も可能となりましたが、本来であれば保育士が一斉退職となってもおかしくないケースだったといえるでしょう。

保育園が閉園する理由

保育園が閉園する理由

保育園の閉園理由は先ほど説明した通りさまざまです。一般的にどのような理由で保育園が閉園となるのかを見ていきましょう。

園児が集まらない

常に定員割れの保育園、園児が集まらない保育園では収益が減ってしまい、採算がとれなくなります。保育園は運営をしていかなくてはならないため、想定していたよりも園児が集まらないと経営難に陥ることもあるでしょう。

保育園は「あれば園児が集まる」わけではないため、たとえ子どもが集中しているエリアでも、人気や知名度によって園児不足が起こることも考えられます。

保育士が集まらない

園児が集まらないのと同様に、保育士を募集したにもかかわらず保育士の確保がままならなければ保育園そのものが機能しません。また、規模や園児の人数によって配置すべき保育士の人数は決まっており、保育士不足が園児の不足につながることも。

園そのものの人気も大切ですが、保育園は先生がいるからこそ成り立ちます。保育士が長く続けられるような環境整備や効率よく募集をかけるなど、園児ではなく保育士に向けても園の工夫が求められます。

保育士の一斉退職

一斉退職とは、保育士が一気に退職してしまうことです。この原因は状況によってさまざまですが、保育園自体に不満を持つ保育士が多くいたり、保育士の人間関係が複雑化し業務に影響する事態に陥ったり、パワハラやセクハラなどの問題も一斉離職につながりやすいでしょう。

一斉退職でなくても、保育士1人の退職が連鎖を引き起こすこともあります。この場合は人材不足により、閉園してしまいます。

経営の悪化

園児が集まらず採算がとれないのも、経営悪化の要因のひとつです。それ以外にもずさんな運営や見通しの甘さで経営は悪化するため、園児が多く一見人気の園に見えたとしても、実態はどうかわかりません。

また、法律に反した運営やルール違反などで、補助金や給付金が打ち切られることもあります。重大な保育事故で評判が落ち、入園希望者が減るということも考えられますが、これらはすべて経営悪化につながるといえそうです。

閉園しそうな保育園を見極める方法

閉園のリスクは小規模保育園に限ったことではない

事例にもあるように、保育園の閉園は突然の場合もあり察知するのはとても難しいことです。在園中はおろか、保活中に外部から閉園リスクを見極めるのは困難といえるでしょう。ただし、いくつかできることはあります。ここからは閉園を避けるための方法をご紹介します。

直近の定員の充足率を見る

大幅な定員割れの状態が何年も続いている園は、経営難が疑われます。もちろん地域柄園児が減少しているところもありますが、その場合は減少傾向もゆるやかなことがほとんどです。

近隣の園と比べても明らかに人気がない、通わせたがる保護者を聞かないという場合は「なぜ定員充足率が低いのか」を見極める必要があります。

保育士の求人を見る

保育士の求人で注意しておきたいのは

  • 大量採用を行っている
  • 年中求人広告を出している

という点です。

この求人から見ると常に人手不足の可能性が高く、採用してもすぐ保育士が辞めてしまう職場環境なのかもしれません。

また、保育士向けの求人サイトには職員による口コミがあります。情報が古い場合や主観が混じることもあるためあくまで参考程度ですが、ある程度は運営元の体質が確認できるでしょう。

とはいえ、保育士不足は全国的に起こっています。求人がある=怪しい保育園とはいえないため、注意しておきましょう。

口コミサイトを見る

保育園を利用したことのある保護者や関係者が、口コミを投稿するサイトがあります。こうした評判サイトで過去にトラブルがないかを調べるのもひとつの手段です。

この中で「設備が修繕されていない」「(保育士個人ではなく)組織としての対応がずさんである」などの口コミは、すぐに改善されない大きな問題を抱えている可能性もあります。

口コミサイトがすべてではないため、視野を広げて情報収集をするのがおすすめですが、SNSで検索すればリアルな声が見られるかもしれません。

運営元の情報を調べる

例えば運営元が複数の園を持つ企業の場合、系列園の閉園が相次いでいると少し注意が必要です。なぜ閉園したのかを調べておくと、閉園のリスクを見極めることができるかもしれません。

さらに事業の継続年数が長いほど、信頼できる実績を持つ保育園といえます。小規模保育園の場合は制度自体が新しく、継続年数はどの企業もそう長くありません。そのため継続年数で一概には判断できない点に注意しておきましょう。

閉園のリスクは小規模保育園に限ったことではない

閉園のリスクと聞いて、少人数制の小規模保育園は「閉園リスクが高いのでは?」と思われがちです。実際には小規模保育園に限ったことではなく、規模の大きな認可保育園でも、企業が運営する系列園の多い保育園でも起こります。

大切なのは閉園しそうな園を冷静に見極め、ご家庭に合う園を選ぶことです。見学に行くとわかることもあるため、保育園を選ぶ際はたくさんの選択肢を持ち、情報収集をできるだけ行いましょう。

小規模保育園を検討中の方は、ぽとふ保育園もおすすめです。一人ひとりに寄り添った園を子どもの初めての保育園に選びたい方、神奈川県の伊勢原・海老名・本厚木・愛甲石田・大和・茅ヶ崎・辻堂・平塚・綾瀬・さがみ野・かしわ台にお住まいの方は、小規模保育園ぽとふをぜひチェックしてみてくださいね。

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