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小規模保育園は5歳まで利用できるって本当?改正点を徹底解説

小規模保育園とは、0~2歳児を預かる少人数保育施設です。小規模保育園にはさまざまなメリットがあるものの、「3歳以降は再び保活をする必要がある」という点が問題視されています。

ですが、2023年4月からは、条件付きで3~5歳児の受け入れも可能に。

  • 小規模保育園でも3~5歳児を預けられるの?
  • 3~5歳児を預けられる小規模保育園の条件とは?
  • 5歳まで利用できる小規模保育園はどんな感じ?

など、今回は小規模保育園の制度改正についてわかりやすく解説します。今小規模保育園が気になっている保護者の方は、ぜひ参考にしてくださいね。

この記事は以下の方におすすめです▼

  • 小規模保育園とは何か、制度について詳しく知りたい方
  • 小規模保育園を子どもの預け先に考えている方
  • 小規模保育園の「3歳の壁」によって踏み切れない方

この記事ではこんな情報が得られます▼

  • 小規模保育園の制度改正について詳しい情報
  • 5歳児まで預かる小規模保育園の現状
  • 5歳児まで預かる小規模保育園の雰囲気や運営状況

小規模保育園とは?

小規模保育園とは?

小規模保育園とは、0~2歳児を対象とした定員6~19人の少人数保育園です。待機児童解消のために制定された施設であり、2015年からは認可事業として認められています。

従来の認可保育園では「20人以上」の園児が集まらないと認可が下りず、保育園を運営するにはハードルが高い実情がありました。小規模保育園では条件さえそろえば限られたスペースでも運営できるため、ビジネス街や駅の近くといった便利な立地にも多いのが特長です。

少ない人数で保育の目も行き届き、なおかつ送迎しやすいのは保護者にとって大きなメリットになります。

この小規模保育園の普及により、0~2歳児の待機児童は解消されつつあります。一方で、小規模保育園の園児は3歳になると転園先を探す「保活」が必要です。なぜなら、保育方針の基本として「3歳以上の子には集団での保育が大切」とあり、小規模保育園では集団生活が身に付かない、小学校への準備が不十分とみなされるからです。

3歳児というと他保育園では持ち上がりで進級する子がほとんどで、新しく入るのは難しく転園に苦労する事例が増えています。この3歳からの保活の難しさは「3歳の壁」とも呼ばれています。

【結論】小規模保育園は制度上5歳まで利用できるが、対応する施設が少ない

実はこれまでの小規模保育園でも、条件付きで5歳まで預かることは可能でした。2023年4月からはその条件が緩和され、全国で5歳まで預かる小規模保育園が認められるようになったのです。

小規模保育事業における3歳以上の法改正

引用:こども家庭庁「小規模保育事業における3歳以上児の受入れについて

そのため、これからは5歳まで預かる小規模保育園も増えると予想されますが、現状ではまだ対応する施設が少ないといえるでしょう。

小規模保育園の制度はどのように変わったのか、従来の運営規定とあわせて解説します。

これまでの3歳児以上の受け入れ条件

これまでの小規模保育園における3歳児以上の受け入れ条件とは、

  • 近くに教育、保育施設がない場合
  • きょうだいで別々の施設になってしまう場合

上記の2点に該当する場合で、さらに「国家戦略特別区」に指定された市町村が特に必要と認めた場合に受け入れられるというものです。

国家戦略特別区とは、国や地方公共団体と民間企業がひとつとなり、プロジェクトに取り込むことを指します。簡単にいうと、ビジネスや生活における制度を先行的に実施し、有用性や効果性を見定めるために指定されたエリアのことです。

例えば大阪府堺市は国家戦略特別区に指定されており、ここでは2017年から5歳まで預かる小規模保育園を運用しています。令和2年4月時点の特区小規模を持つ小規模保育入所率は105.3%※と、3歳児以上の小規模保育の必要性は高いことがわかります。

※参考:NPO法人全国小規模保育協議会:【報告】小規模保育施設でも5歳児までの預かりが可能に!小規模保育の「3歳の壁」問題解消へ

制度改正後の3歳児以上の受け入れ条件

では、2023年4月より3歳児以上の受け入れ条件はどのように変わったのでしょうか。

  • 近くに教育、保育施設がない場合
  • きょうだいで別々の施設になってしまう場合
  • 集団生活を行うことが困難である場合

上記3つに該当し、「保育体制整備の状況その他の地域の事情を勘案し、3歳以上の保育が必要な場合」に国家戦略特別区でない全国でも受け入れ可能になりました。

条件には集団生活を行うことが困難である場合も追加されており、これは保育運用の「3歳以上の子どもには集団生活が大切」という方針を「どの子にも集団生活が必要かというとそうではない」と柔軟に考慮した結果です。

結果としてハードルはかなり低くなりましたが、実際に対応している施設はまだ少ないのが現状と言えるでしょう。今後は、0~2歳児を預かる小規模保育園の卒園後の受け皿として活用されることが強く期待されています。

5歳まで利用できる小規模保育園が少ない3つの理由

5歳まで利用できる小規模保育園が少ない3つの理由

これまでも、制度的には小規模保育園で3歳児以上の受け入れは可能でした。しかし、実際には手を挙げる自治体はほとんどありません。

今回の制度改正により5歳児まで預かる小規模保育園が増えると予想できますが、実際はまだ対応する施設は少ない模様です。これはなぜか、以下の3つの理由で説明していきましょう。

  1. 5歳児までの保育施設規模の維持、設営が難しい
  2. 対応できる保育士を揃えるのが難しい
  3. 保育スキルもより高度なものが求められる

一つずつ解説します。

5歳児までの保育施設規模の維持、設営が難しい

小規模保育園ではスペースが小さく、行事を行うホールや園庭がない場合もあります。ワンフロアで学年の異なる保育を行うのは、設備が十分とはいえません。

3歳以上になると子どもの運動量は格段に増えます。そのため、保育室だけでは活動が制限されてしまい、従来の小規模保育園よりも別の施設を借りる必要がある、拡張する必要があるなどして、すぐには3歳以降の受け入れができません。

対応できる保育士を揃えるのが難しい

0~5歳児とは、特に年齢や月齢によって発達段階が大きく異なります。例えば0~2歳の保育では誤飲の危険性を考えて、小さなおはじきやビー玉遊びなどを制限する必要がありますが、一方で3歳以降は、手先をうまく使う練習として小さいおもちゃ遊びが大切です。

0~2歳では基本的にひとり遊びですが、3歳以降はお友達とコミュニケーションを取りながら集団遊びを育む時期。また、0~2歳児に欠かせないお昼寝の時間も、3歳以上の子がいる中で適切に確保するには対応が難しい部分もあります。

小規模保育園という一つの集団だけでは、0~2歳児の保育と3歳児以降の保育が両立できず、この部分も保育園側に配慮や設備投資などが求められるでしょう。

保育スキルもより高度なものが求められる

0~2歳児の保育というのは、いわゆる乳児保育に分類されます。3歳児以降は幼児保育が始まるため、これまで「乳児保育を専門的にみていた保育士」が、3歳児以降を受け入れるにあたって幅広い保育知識を取得しなくてはなりません。

小規模保育園では保育士(保育資格を持っている者)と家庭的保育者(保育資格は持っていないが自治体から認定を受けている者)両方がいるため、即座に3歳児以降の保育に対応するのは難しいのが実情です。

ただ、小規模保育園にとって5歳まで預けられる施設は需要が多いのも事実です。現状では課題も多く受け入れが難しいかもしれませんが、次第に増えていくと予想できるでしょう。

【事例】堺市の小規模保育園の取組み

【事例】堺市の小規模保育園の取組み

大阪府堺市の「きらら保育園」では、全国に先駆けて令和2年より「特区小規模保育所」として3~5歳の受け入れを開始しています。

通常0~2歳児を預かる小規模保育園ですが、きらら保育園では3~5歳児を保育します。店員(19名まで)に余裕があれば1~2歳児の預かりも可能。基本的には1~2歳クラスと3~5歳クラスを分けており、時間帯によっては年齢に関係なくクラスを作り一緒に保育する縦割り保育も導入しています。

保育園の設立には、記事内でもご紹介した「3歳の壁」が影響しています。保護者側からは多くの3歳以降の受け入れを可能にして欲しいとの声が、保育士側からは自分たちで子ども達を学校につなげてあげたいと声が上がり、設立に至ったとしています。

3~5歳児の受け皿を作ることで保活のハードルは低くなりますが、設立当初は「小規模保育園では3歳からの集団保育が不十分ではないか」などさまざまな課題もありました。この点を、周辺施設を利用して設備の拡張を行ったり、縦割り保育で少ない人数でも年齢を超えた関わりを持たせたりなどして解決しています。

きらら保育園には、園児にとっては環境が変わらず一貫して慣れ親しんだ先生とお友達と一緒に過ごせるメリットが、保護者にとっては限られた人数の子どもを手厚く保育してくれる、3歳からの保活をしなくてよいメリット、保育士にとっても全員に目を配りやすいというメリットがあります。

全国でも珍しい3~5歳児を預かる小規模保育園だけあって、カリキュラムや集団保育に変わる行事の設定など難しい部分は多々ありますが、この取り組みをきっかけに小規模保育園の利用幅がより広がることが期待されています。

参考:内閣府 国家戦略特区「新しい保育所のカタチを全国へ 堺市における特区小規模保育所の取組

小規模保育園を利用する際の注意点

小規模保育園を利用する際の注意点

制度改正は2023年の4月から実施された比較的新しい変更点です。3歳児以上受け入れには細かな課題も多く、期待されているものの実現には時間がかかるでしょう。

とはいえ、0~2歳という待機児童の多い年齢の中、少人数でしっかり保育してもらえる小規模保育園にはメリットも大きいものがあります。最後に小規模保育園を利用する場合、どのようなことを考えたらよいのかをポイントにしてご紹介します。

連携施設の有無を確認する

連携施設とは、小規模保育園を卒園したあとの受け皿となる施設です。小規模保育園と連携施設は「保育内容の支援」「代替保育の提供」「卒園後の進級先の確保」などで支援を行いますが、すべての小規模保育園で連携施設を用意しているわけではありません。中には「加点のみ」という配慮を行うこともあります。

3歳からの保活に不安を覚える場合は、連携施設の有無を確認したうえで小規模保育園を選ぶとよいでしょう。この連携施設は必ずしも保育園とは限らず、幼稚園やこども園ということもあります。いずれにしても、どのような支援が受けられるのかは事前に確認しておくと安心です。

3歳以降の進路は柔軟に考える

3歳以降の保活をいかにスムーズに成功させるかは、

  • 3歳以降の進路の選択肢を多く持つ
  • 事前に準備しておく

ことが大切です。小規模保育園と同じ保育時間を確保するには「保育園一択」という保護者も多いですが、保育園のみに絞って保活するよりも「幼稚園に入って預かり保育を利用する」「2号認定でこども園に入園する」なども考えながら行動すると、いざ落ちてしまっても取り返しがつきます。

どうしても保育園しか利用できない場合は、小規模保育園在園中から転園届を出し、空きを待つ方もいます。3歳の壁と呼ばれる保活ですが、実際には「何らかの手段で卒園後の進路はある」ケースがほとんどなので、早めの行動だけ心掛けておきましょう。

小規模保育園の利用は、3歳での転園を前提に検討しよう

3歳以降の利用が可能であり、保活しなくてよい小規模保育園は増えつつあります。しかし全国で利用しやすくなるには時間がかかるため、小規模保育園の利用は3歳での転園を前提に選ぶと安心です。

小規模保育園は3歳の壁があるとしても、大きなメリットが得られる施設です。神奈川県の小規模保育園ぽとふ保育園は、一人ひとりに寄り添った充実の保育カリキュラム、給食や木のぬくもりにこだわった内装など、小規模保育園の長所をしっかり盛り込んでいます。近くにお住まいの方は、ぜひ見学から始めてみてくださいね。

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