小規模保育園から転園できない!? 2度目の保活をする際の注意点
小規模保育園とは、原則0~2歳の子どもを預かる少人数保育を行う施設です。0~2歳の待機児童解消を目的として設立されましたが、この保育園では3歳以降多くの場合で2度目の保活をしなくてはなりません。
「保活が必要」である小規模保育園では、保護者から「転園できない?」と不安の声も多く聞かれます。しかし、事前に準備しておけば2度目の保活も成功することがほとんどです。
今回は小規模保育園を運営する立場の目線から、2度目の保活に対するアドバイスや注意点、成功させるためのコツをご紹介します。
これから小規模保育園への入園を考えている方、3歳からの保活を控えている方はぜひ参考にしてください。
この記事は以下の方におすすめです▼
- 小規模保育園に入園中の子どもを持つ方
- 小規模保育園への入園を考えている方
- 3歳からの保活、3歳の壁に不安がある方
この記事では以下の情報が得られます▼
- 小規模保育園からの転園を成功させるためのコツ
- 小規模保育園からの転園先、進路先の詳細
- 3歳の壁を乗り越えるポイント
小規模保育園とは
小規模保育園とは、2015年から認可された保育事業であり「認可保育所」のひとつです。
大きな特徴として、
- 原則0~2歳の子どもが対象
- 6人以上20人未満の子どもを預かる
この2つが挙げられます。
小規模保育園は本来、待機児童の多い0~2歳の預け先を増やす目的で設立されました。従来の保育園よりも小さなスペース・規模で運用可能とし、これまで保育園がなかったオフィスビルの一部やマンションの一室など、さまざまな空きスペースを利用して開園しています。
認可保育園であるため比較的運営も安定しており、利用料金も安いことから、今保護者の中では注目の集まる保育園の形です。少人数ならではの家庭的な雰囲気ときめ細やかな保育を特徴としています。
小規模保育園から転園できない!?3歳の壁とは
小規模保育園は原則0~2歳が通うところとお伝えしました。2023年4月からは全国の小規模保育園で3歳以降の受け入れが可能になりましたが、これまで0~2歳を専門としていた小規模保育園が年齢枠を広げるには課題が多く、まだ3歳以降の受け入れをしていないところがほとんどです。
よって、小規模保育園では3歳以降に新しい進路先を見つける必要があります。この再び訪れる3歳からの保活を「3歳の壁」と呼び、転園に悩みを持つ保護者の声もたくさん聞かれます。
なぜ「3歳の壁」と呼ばれているのか、小規模保育園からの転園事情をご紹介します。
3歳児クラスの募集枠が少ない
3歳からの保活が難しい理由として、3歳児クラスの空き枠の少なさがあります。
小規模保育園から転園先に選ぶのは認可保育園であることがほとんどですが、保育園では2歳児からの持ち上がりで定員が埋まることがほとんどで、3歳から転園すると少ない空き枠に応募することとなります。もちろん枠がないわけではありませんが、数名しか追加募集が出ないために、小規模保育園を卒園する園児の数に対して圧倒的に募集枠が少ないのです。
働きながら2度目の保活をしなければならない
3歳からの2度目の保活は、働きながらこなす必要があります。1度目の小規模保育園に入る保活では育休中や求職中の方が多く、見学に行く時間や書類の準備時間が確保できますが、仕事に復帰して以降に迎える3歳からの保活は時間がとにかく足りません。
とはいえ大切な作業なので、なるべく早めに行動することをおすすめします。
子どもも親も、新しい園に慣れなければいけない
転園によってこれまで慣れた先生やお友達から離れ、子どもは見知らぬ園に通い始めます。一から人間関係を築く必要があるため、ある程度慣れる時間は必要です。
また、子どもだけでなく親も新しい環境に慣れなくてはなりません。園が違えばルールや持ち物なども違い、新しい園への準備もかなりの労力がかかります。
小規模保育園からの転園先4つ
小規模保育園からの転園先には以下の4つが考えられます。
- 認可保育園
- 認可外保育園
- 幼稚園
- 認定こども園
これまでの保育時間を加味して多くの方が認可保育園を選びますが、ここではその他の進路先もどのように利用できるのかを詳しくご紹介します。
転園先をチェックする前に、まずは「保育の必要性の認定」を市区町村から受ける必要があります。この認定が何号かによって保育施設の利用範囲が異なります。小規模保育園では3号認定が必要です。
認定 | 内容 |
1号認定 | 子どもの年齢が3~5歳保育を必要とする事由に該当しない教育標準時間認定 |
2号認定 | 子どもの年齢が3~5歳保育を必要とする事由に該当する保育認定 |
3号認定 | 子どもの年齢が0~2歳保育を必要とする事由に該当する保育認定 |
認定の必要がない | 子どもの年齢が0~2歳であり、保育を必要とする事由に該当しない |
認可保育園
ここからは、認可保育園の特徴をご紹介します。特徴は主に下記の3つに集約できます。
- 利用するには0~2歳のときは3号認定、3~5歳のときは2号認定が必要
- 保育料は市区町村が定め、保護者は市区町村に利用料を支払う
- 国からの補助を受け運営するため比較的保育料が安い
認可保育園とは、国が定めた設置基準をクリアし都道府県などから認可を受けた保育所を指します。いわゆる従来の保育園であり、小規模保育園からの転園先として多くの場合で選ばれています。
認可保育園に転園するには、保護者は市区町村に届け出ます。空きが出たら連絡がくるため、小規模保育園在園中から空きの出やすい時期に転園届を先に提出する方も多い傾向です。
認可外保育園
認可外保育園の特徴は下記のとおりです。
- 保育認定の必要はなく、誰でも利用できる(専業主婦・主夫も可)
- 保育料は園が独自に定め、園によって大きく違いがある
認可外保育園とは、国が定めた設置基準はクリアしていませんが「認可外保育施設に対する指導監督要綱」に定められた基準を満たした保育施設です。保育園のほかに、企業内保育所や託児所も含まれます。保育料には一律の基準はなく、保育園が独自で決定するため園によって違いがあるのも特徴です。
利用するには保育認定の必要はないため、誰でも利用できます。小規模保育園から転園する場合は園に直接空き状況を確認して、入園希望を出します。
幼稚園
幼稚園の特徴は下記のとおりです。
- 入園を園に申し込み決定すると「1号認定」が受けられる
- 小学校に上がる前の子どもが通う教育施設であり、「学校」の一種と位置づけられている
幼稚園は誰でも通うことができ、「教育」も受けられる施設です。保育時間は保育園よりも短く基本的に14時前後で降園します。夏休みや冬休み、春休みといった長期休暇もあるため、共働き世帯では利用が難しい側面もあるでしょう。
ただし、幼稚園によっては預かり保育を実施しているところもあります。在園中に新2号認定を受けると預かり保育の料金に補助が出るため、園によっては保育園と同じような利用の仕方も可能です。
認定こども園
認定こども園も転園先の候補となります。特徴は下記のとおりです。
- 保育認定は1号もしくは2号が必要
- 保育園と幼稚園両方の特徴を併せ持つ
認定こども園は保育園と比べると比較的入りやすく、幼稚園と保育園両方の特徴を持つ施設です。保育時間は基本的に短めであり幼稚園と同じく14時降園ですが、預かり保育を設定しているところがほとんど。2号認定で転園できなくても、1号認定で入園し新2号認定を受けて延長保育を利用すれば、保育時間をある程度長く設定できます。
小規模保育園からの転園を経験した人の声
小規模保育園から、実際に転園を経験した人の口コミをご紹介します。
- 「環境の変化が心配だったけれど、先生のフォローが上手で我が子はすぐ適応できた」
- 「卒園を待たずダメもとで保育園に転園希望を出したら、すぐに空きが出て小規模保育園を半月で転園した」
- 「認可保育園のほかに滑り止めで幼稚園も併願したけれど、入園金が10万近くかかって大変だった」
- 「認可保育園に落ちてから幼稚園を検討したら、ほとんどの幼稚園が受付を終了していて慌てて問い合わせた」
さまざまな意見がありますが、小規模保育園からどこにも転園できなかった、転園に失敗したという方はほとんどいません。また、子どもが新しい環境に慣れるのかどうかも心配するポイントですが、小さな子は環境への適応力も柔軟で、意外とすぐに慣れてくれます。
保育園からの空き連絡は直前にくることが多く、幼稚園と併願するなど手段をいくつか用意しておくと安心です。その場合は入園一時金がかからないようにするなど、事前に調べて調整するのがポイントとなります。
2度目の保活をする際の注意点
3歳の壁を乗り越えるために、注意点をいくつかご紹介します。保活の際に行き詰らないよう、あらかじめ心構えを確認しておくと安心です。
転園先の選択肢を増やしておく
転園先を「保育園しか考えられない」と1本だけに絞ってしまうと、入れなかったときに自分の働き方を変えたり引越しが必要になったりします。もちろん小規模保育園と変わらない環境といえば認可保育園ですが、できる限り柔軟に考えて選択肢を増やしておきましょう。
幼稚園に入園し、新2号認定を受け預かり保育を利用することもできますし、認定こども園でも保育園と変わらない保育時間を確保することもできます。第一希望ではないにしろ、募集の締め切りや手順を知っておく、見学だけは早めにしておくなど最低限の情報は収集しておきましょう。
卒園を待たずに転園することも検討する
認可保育園にどうしても転園したい、転園する必要がある場合は、小規模保育園在園中に転園届を出しておくのも一つの手段です。保育園側で空きが出れば年度の途中でも小規模保育園をやめてすぐに転園すると、3歳の壁を回避できます。
実際にこの形で転園に成功している方は多いのですが、募集が殺到する人気園では「ダメかもしれないけれど」と覚悟しておく必要もあるでしょう。保活の準備はしておき、気長に待つのもおすすめです。
小規模保育園から転園できないことを心配する人からよくある質問
小規模保育園からの転園で、よく聞かれる疑問をまとめました。一つずつチェックしていきましょう。
Q.いつから転園できますか?
小規模保育園では、転園可能な時期の設定はありません。年度の途中でも退園・転園は可能です。
Q.転園しやすい時期はありますか?
転勤や引越しの多い9、10月や1、2月に転園したという声は多く聞かれます。この時期に「転園できるかもしれない」と予想して、早めに転園届を出しておくのも一つの手段です。
一方で、年度始まりからの4~6月は空き枠が出にくいといわれています。
Q.認可保育園に落ちてから、幼稚園を探しても間に合いますか?
認可保育園に入園できるかどうかの発表は年明け1、2月ごろが多く、幼稚園の選考は前年度の秋10、11月ごろに行われます。幼稚園によって募集期間は異なりますが、保育園に落ちてから幼稚園を探すと希望の園に入れない可能性が高くなります。
自治体にもよりますが、保育園と幼稚園の併願ができる場合もあります。直前になって慌てないように、いくつか手段を考えておくと安心です。
小規模保育園から転園できない!と焦らないために
小規模保育園にはメリットも多く、小さな子が通う保育園として魅力にあふれた施設です。一方で卒園後は進路を考える必要があるため、慌てないように計画的に保活を進めていきましょう。3歳の壁、3歳からの保活は大変といわれますが、事前の準備によって「転園できない!」状態を回避することができます。
ぽとふ保育園は、神奈川県伊勢原・海老名・本厚木・愛甲石田・大和・茅ヶ崎・辻堂・平塚・綾瀬・さがみ野・かしわ台で施設を運営する小規模保育園です。小規模保育園が気になり近くに住んでいる方は、一人ひとりに寄り添った保育を提供するぽとふ保育園に、ぜひ一度見学にきてくださいね。
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